プロフィール
田沢 成一氏
NTTル・パルク 取締役 営業企画部長
1983年 日本電信電話公社入社
2007年 NTT東日本 東京北支店 法人営業部 企画担当課長
2008年 NTT東日本 東京支店 総務部 人事担当課長
2010年 NTT東日本 ビジネス&オフィス事業推進本部 ソリューションエンジニアリング部 技術戦略担当課長
2014年 NTT-ME ネットワークビジネス本部 事業企画担当課長
2016年 NTTル・パルク取締役に就任。現在に至る。
三宅 克英
株式会社ニーリー 取締役 CTO
2007年に金融機関向けシステム開発会社シンプレクス・テクノロジー(現シンプレクス株式会社)に入社。入社1年目からプロジェクトマネージャーを任され、証券会社向けFXシステムやメガバンク向けリスク管理システムなど、小規模から大規模まで数多くのプロジェクトを責任者として担当。フロントからミドル、バックまで金融機関業務に精通。2016年にはシンプレクス新卒最速でプリンシパルに就任。2017年12月よりNealle Inc.へ参画。
オーナー様へも協働でコンサルティングを実施〜パートナーとしてDX化を推進〜
簡単に御社についてご紹介いただいてもよろしいでしょうか。
当社の設立は1985年です。NTTが電電公社から民間会社に変わった時代に、NTTの電話局舎の土地利活用を目的に、グループ内に駐車場事業会社を作り、色々と事業を広げていきましょうという一環で当社を作りました。
当社は、資本金は2,000万円、NTT東日本の100%出資子会社です。年商は昨年で42.3億円、社員数は45名で業務概要は主に駐車場の運営管理、駐車場に関わるシステム販売、住宅仲介事業、駐車場のデッドスペース活用の自販機販売、土地利活用のコンサルティング、カーシェアリング事業を行っております。
ありがとうございます。ル・パルクさんとの一番最初のお付き合いは2020年の6月からになりますでしょうか。
不動産会社が当社のクライアントで多かった中、御社は不動産会社というより土地の利活用をキーワードに、月極駐車場以外にもコインパーキングやモビリティ系の事業もやっていらっしゃるのが特徴でした。
我々としても初めてそのような業態の企業とお取引をさせていただいたのですが、そもそもニーリーや、Park Directを知ったきっかけは何だったのでしょうか。
当時、月極駐車場の営業やコールセンターを含めた管理業務を直営で行っていたのですが、昨今のデジタル化の進展を背景に、社内業務の効率化、DX化を推進していこうという事業の方向性を出したのがきっかけです。もともと月極駐車場は収益力を上げていくというよりは、①現状の運営管理を効率化すること、②利用者様、契約者様に対してもっと利便性の良いサービスを提供していきたいという両面で検討しておりました。自社開発だと時間もコストもかかるということで、BPO先を調査していたときに御社を知ったのがきっかけでした。
ありがとうございます。最終的に弊社を採用頂いた決め手はどういったところでしょうか。
導入コストとサービスの向上のコストパフォーマンスから見ても御社の提案が良いかなと思ったのが一つです。
もう一つこれは結果論になるのですが、オーナー様対応についても踏み込んで行ってくださったことかなと思っています。例えば、Park Directを導入する際に、御社の営業の方が周辺駐車場の適正価格を調べて提案してくださったのですが、「適正価格とはいえ値上げできない」というようなオーナー様に対して、一緒になってコンサルティングしていただいたところが良いと感じました。
他社さんもきれいな提案はしてくださっていたのですが、泥臭く現場で起こっていることまで踏み込み、僕らが実現したいことを御社が汲み取って、一つ一つ解決してくださったことが決め手だったのかなと思います。
ありがとうございます。我々もベンチャーと言いながらも強みの一つは泥臭さというか、最後までやりきるところだと思っています。現場の方々には様々なご対応・ご支援をいただきながらも、一緒にやりきれたというのはPark Directのプロダクトのレベルアップというだけでなく、我々自身の事業ノウハウとしても色々とレベルアップさせていただく、とても大きなきっかけだったと思ってます。
オーナー様、あるいは契約者様に対する向き合い方や一つ一つ課題を解決していく力は、当社にとってもスキルアップやノウハウを蓄積する非常に良い機会になったと思います。一つ一つの駐車場、あるいは契約者様に対して踏み込んで対応したことは、かなり苦労しましたが、結果的に良かったのではないかと思います。
印象に残っているのは、空き待ち予約機能について当初ニーリーが考えていた方向性だと御社のニーズに合わないという事で、ユーザーニーズについてディスカッションしながら要件を決め、カスタマイズして開発させていただいたことです。結果として同様のニーズがあり、今も多くのユーザーに利用いただいている仕様になっています。御社との話の中で「そういうニーズがあるんだ」ということに気付けたことでできた機能なので、開発の責任者としてありがたい経験をさせていただいたと思っております。
業務効率・契約率が劇的に改善。
〜導入前後比で運営管理コスト50%・人件費60%削減・システム管理業務70%削減〜
その後導入した結果などについてお伺いしたいのですが、導入前後で何か変わりましたか。
やはり、管理にかかる工数が劇的に減ったということでしょうか。
それによって新たな営業にリソースを持っていくことができました。もう一つは、月極駐車場は固定観念として、「契約書・ハンコが当たり前だよね」というアナログな感覚を弊社の社員も持っていました。それが今回のPark Directの導入によってデジタルな感覚というのが備わってきたという意味では大きく変化があると思います。
ご契約者様からも「NTTさんは先に進んでるね」というリアクションがあるのもいい変化だと思っています。
また、コールセンター経由でいただく様々な契約者様のご要望や、苦情などがたくさんあります。それらが社内で共有化され、運用面やシステム面も含めた改善に繋がって来ているところは、非常に良いと思います。
我々もSaaSといわれる形態を提供しているので、業務効率化には力を入れています。ですが、本当にやりたいことは業務効率化だけではなく、その先の効率化で得た余力で更にビジネスを伸ばしていただくご支援までできればと思っており、まさに御社ではコスト圧縮、効率化ということだけでなく、より営業にパワーをかけられるようになったことは、我々としてもありがたい事例です。
実際に数値面で振り返ると効果は大きかったですか?
月極駐車場の管理運営業務においては、システム管理業務では70%程削減、運営管理コストでは50%程削減、人件費においても60%程削減できていますし、契約率自体も御社と組むことによって10%程向上しています。副次的ではありますがペーパーレスの観点で、紙の利用自体も70%程削減できているので、大きな効果があげられているのではないかと思っております。
数値面、コスト面でも結果が出て嬉しいですが、契約率もアップしてるというのも非常に嬉しいです。繰り返しにはなりますが、我々のWeb集客での直接的なご支援だけでなく、管理にかかる工数を減らすことによって、間接的に御社の営業の方が契約を取る時間を作れたことが、結果に繋がったのは非常に嬉しいです。
弊社の月極営業担当の目線だと、今までは契約を取ってきたあとに、紙のやり取りといった契約にまつわる煩雑な作業があり、契約者様には負担になっていたんだと思います。そこがオンラインになることによって、契約者数の拡大につながっていくと思います。
不動産業界は各地域ごとの独自のルールがありますし、それぞれのお客様の特性を考え、サービス内容や料金体系のカスタマイズをしていけると、御社の更なる収益アップにつなげていけると思います。一例として、契約更新時の更新料について、今回のPark Direct導入を期に課金をさせていただくことで収益アップへの貢献をさせていただきました。
御社が営業調査やマーケティングをしてくださって、今回正面から契約更新時の更新料手続きというものに踏み込めたというのは大きいと思ってます。
御社とのオンラインへの切り替えは約1年をかけた壮大なプロジェクトで、大変でもあり、楽しくもあり、思い出深い1年間だったのですが、振り返ってみると何が一番田沢さんの中で大変でしたか?
オーナー様も最初は結構後ろ向きでしたが、そこを僕も一緒になってオーナー様にご説明をしたらご納得いただけるようになりました。「利用者様の利便性向上を実現するために、デジタル化を進めていきたいんです」というポリシーといいますかコンセプトをご理解いただくことに苦労しましたが、大事な営みだったんじゃないかなと思います。
なかなか駐車場に対してパワーをかけていただける企業も少ない中、大変だったと想像しているのですが、成功の秘訣をひとことで言うと何が思い浮かびますか。
世の中的に、「これからはオンラインやデジタル化だ」という流れの中で実行できたのはタイミング的には良かったと思いますね。弊社は駐車場の運営は行っているけれど実際に持ち主ではないので、いかにご契約者様やオーナー様の立場になって仕事を進めるか。
また、その中でいただいたご意見やご要望を改善に繋げていく企業としての姿勢が、一番だったのではないかと思います。ご契約者様やオーナー様にご理解いただいてご説明する中で移行できたというのは、そのポリシーがあったからではないかと思います。
駐車場がモビリティハブになる近未来のスマートパークを目指して
〜EV時代に合わせた新たな事業構想〜
我々も様々な新しい取り組みを始めてはいるのですが、その中で御社から弊社に対しての更なる期待をお伺いしてもよろしいでしょうか。
そうですね、月極駐車場はこれからも車があって持ち主がいる以上は、どこかに停めなければならないので、それが月極なのかサブスクなのか様々な契約形態に柔軟に対応できるものがあるといいと思います。
オンライン化はできましたが、「ル・パルクあるいはPark Directと契約すると更に付加価値が付きますよ」というものがあればいいなと思います。その一つはMaaSの世界だと思います。
どこかと連携をして更に利便性が上がるとか、今までかかってきた料金がPark Directと契約すると割引になるなどのイメージですね。例えば、すでに実施されているガソリンクーポンもその一つだと思いますが、使うか使わないかは別としても、そういうコンテンツがあることが付加価値にはなると思います。
あとは、現在感じている課題として、ご契約者様がパスカードを使わないとゲートに入れない=車を出せない、ということがあります。駐車場は、入出庫・在車及び料金精算の管理・運営に関わる多くの機械を設置し、その多くを機械メーカーに依存している。そういうものを一つにつなげるような、スマートな駐車場というのを僕らが作っていかなければいけないなと思っています。
まさに、ガソリンクーポンで1リッターあたり何円引き、のようなことを大々的にやらせていただいたのですが、非常に好評でした。こういった借主様へのメリットを増やしていきたいと我々も思っているので、今後も付加価値創出というのは是非やっていきたいです。
話は変わりますが、モビリティハブの事業者として想像するに、月極駐車場の契約者の中でEVカーの所有が広がっていったときに、充電のための予約システムを構築したり、安く充電ができる・あるいは優先的に充電できる、みたいな仕組みも考えています。御社のシステムを改良した月極駐車場のオンライン予約であったり、弊社が行っているようなカーシェアシステムを組み合わせることで更に利便性が上がり、スマート化されていくと思います。
我々もPark Directの延長だけでなく、先ほど話題にもなりましたが、ナンバー認識のようなことについて、別の事業で独自の画像解析のAI技術を作っています。それを改良して、実際車番認識を作ったりしているので、車番認識を利用することでパスカードレスやキャッシュレス化のようなことにも、チャレンジしたいですね。
駐車場業務のことだけではなく、派生した所でも引き続き御社に対して何かしらの形で価値提供できるように頑張っていきたいなと思っています。
最後にメッセージを頂いてもよろしいでしょうか。
昨今、地球環境負荷低減やSDGs達成、エネルギーコスト削減を背景に、企業・自治体は、EV化推進に取り組んでいます。
EV化シフトにあたっては、現行車両の効率的利活用、コスト面・稼働面での課題解消を図るため「業務用車両のカーシェアリングサービス」をご提供しています。また、EV車充電渋滞解消のための予約システムの提供も考えています。
駐車場運営においては、「レス化、高機能化」をキーワードにご利用者様に対する更なる利便性向上に取り組んで参ります。
それら取り組みについては、ハードからソフト、IoT技術を駆使したサービス提供により、環境にやさしい街づくり、スマートシティ実現に貢献していきたいと考えています。
御社もぜひいろいろな面で創造していただいて、弊社と一緒にそういった世界をつくっていくことを期待しています。
より感度を上げて、一緒にパートナーとして、ですね。話が尽きないですが、インタビューは以上とさせていただきます。この度は非常に興味深いお話をありがとうございました。