■プロフィール
新明和工業株式会社 理事 パーキングシステム事業部 事業企画室長 難波 政浩氏(写真左)
1987年新明和工業株式会社に入社。機械式駐車設備の製品開発を担当。 2002年に設計部の主任技師に就任。2010年に開発部長。 この間、現有する主力機種の機械式駐車設備の開発に携わる。 2019年に現職に就任。Nealleとのアライアンスを推進するなど、 「モノ」売りから「コト」売りへの変革を目指している。
株式会社ニーリー 事業開発グループ 播磨屋 雄太(写真右)
2015年株式会社秋田放送に入社。東京支社へ配属され、テレビ番組の企画やコマーシャル・イベントの企画・製作・運営を担当。その後、2017年に株式会社リクルート住まいカンパニー(株式会社リクルート)にて、分譲マンション領域でデータ活用を基にした販売価格の設定や販促施策の立案と実行を行う。株式会社日本M&Aセンターを経て、2020年より株式会社ニーリーへ参画。
サブリース先へのPark Direct導入でお客様の集客UPと、管理の手間を削減
新明和工業の事業概要についてお聞かせください。
新明和グループは、現在、特装車、パーキングシステム、産機・環境システム、流体、航空機の5つの事業を柱に、社会インフラを支えるさまざまな製品やサービスを提供しています。
建設・環境・物流関連の特装車の製造販売を行う「特装車事業部」がもっとも売り上げを占める事業です。世の中に走っているゴミ収集車やダンプカーの約2台に1台が新明和工業の製造するもので、これが事業の柱となっています。
他にも、海上自衛隊でも活躍する飛行艇を製造する「航空機事業部」や、自動車や家電製品などのワイヤーハーネスの生産工程で、電線処理加工を行う自動電線処理機を製造する「産機システム事業部」など様々な事業を展開しています。
私が所属するのは「パーキングシステム事業部」という事業部で、機械式駐車設備の設計開発から製造、メンテナンスを中心に事業を展開しています。
Park Directをご導入いただいたきっかけについて教えてください。
2年前頃、他社様の「Park Direct導入に関するプレスリリース」を弊社の者が見つけて初めて御社を知りました。
その中で、駐車場のオンライン契約ができることや動画を用いて機械式駐車設備の取り扱い説明ができることが記載してありました。実は最初は自社での導入検討ではなくて「動画を用いた機械式駐車設備の非対面契約」がどういうことなのか気になったんです。
機械式駐車設備を扱っているメーカーとしては、オンラインで機械式駐車設備の契約を行うという前例がなかったため、御社にお話を聞こうとご連絡したのが最初のきっかけですね。
そうですね、何度か私がお伺いした後に、弊社の事業や会社、目指す先にご興味を持っていただいた事で、弊社代表の佐藤から具体的なお話をさせていただきましたね。
Park Directの事業について、今後成長していく理由など非常にまっすぐな目でご説明いただいたことを覚えています。「たぶん本当にそうなんだろうな」とその時思いました。
機械式駐車設備で年数が経過した製品は空車が目立つケースもあるため、まずはそういう先へPark Directを活用するのが面白そうだなと、佐藤社長のお話を伺って思いました。お客様にPark Directを利用いただけると、車室が埋まり収入が増えるので喜んでいただけますし、お客様の満足度の向上により我々としても駐車場のメンテナンスを続けていただけるためWin-Winです。
それを実現するために、まずは弊社でサブリース(※)を行っている先から導入を始めようとなりました。
(※)不動産オーナーから丸々借り上げし転貸する管理形態
お客様のさらなる収益化というところが、御社として一番重要視しているポイントですよね。
はい、その結果弊社にも還元されると大変嬉しいですね。
まずはサブリースをされている先へPark Directを導入いただいたとおもいますが、どのような課題感をお持ちだったのでしょうか。
集客に関する課題は常にありました。
お客様の中には「駐車場はほしいけど、管理はしたくない」という方がいらっしゃいます。そういうときには弊社が一棟借りして、それを貸し出しするのです。貸出を開始した空き区画には、従来様々なツテでお客様を探していましたが、最近では中々繋がりがない方も増えてきていましたので、Webで探したい人がでてくるだろう、と思っていました。そういう状況があったので、Park Directを導入して「オンライン」という新しい武器を作り、時代の変化に備えようと舵を切りました。
また集客だけでなく、Park Direct導入によって事務作業が簡単になったため、サブリースの部署の従業員がとても喜んでいます。これまでは、一件一件手作業で契約書を作っていましたが、オンライン化されて簡単になっただけでなく、クレジットカード決済ができるためお金の管理もすっきりしましたし、督促や撤去があるなどアフターフォローについても評価しています。クレジットカード決済については、お客様と貸主様の間に信用会社が入ったので、すごく楽ですし、安心しています。これこそDXだなと思いました。
御社は、取り組みや新しいものに対する姿勢が非常に進んでいらっしゃるなという感覚がありました。機械式駐車設備メーカーさんの立ち位置としては、従来「納品してその後の保守・メンテナンスまで」が求められていましたよね。最近では、それ以外のところが求められてくるようになったのですか?
様々なビジネスの可能性も含めて、「データを持っている」ことが強みだと思っています。従来であれば、機械式駐車設備のデータは取れていましたが、車両情報や駐車場の契約状況等を把握することができませんでした。
今後は機械式駐車設備メーカーとして、従来の「納品・保守・メンテナンス」だけでなく、募集や管理支援、そしてデータを活用した支援でお客様の利便性向上やさらなる収益化に貢献できたらと考えております。Park Directを起点として、そういった領域にもトライしていこうと思います。従来であればこれを実現しようと思うと人海戦術でやる必要があり、とても難しいと考えていました。しかしPark Directを活用すれば集客もできて、管理の手間もかからないのでチャレンジしてみる価値があると考えています。
新明和パーキングサポートアプリ『Spasa(スパサ)』の開発による駐車場利用者の利便性向上
弊社ではPark Direct事業の他に、お客様の抱えている課題に対してコンサルティングから開発まで一期通貫してご支援をするインキュベーション事業があり、御社に対してはそこでもご支援をさせていただきました。それが、新明和パーキングサポートアプリ『Spasa(スパサ)』ですが、改めて、どのようなアプリか教えてください。
『Spasa』は、IoTの活用により、マンション、オフィスビル等に設置された駐車設備の機能をさらに充実させるとともに、利用者様の利便性・安全性向上を実現するサービスです。最大の特長は、あらかじめ車両のナンバープレート情報を『Spasa』に登録し、機械式駐車設備前の所定の位置に停車すると、設備側がナンバープレートを読み取り、AIによる画像認識機能により、必要なパレットを自動で呼び出すことを可能とした点です。また、ドライバーは、降車しての操作盤操作や、車内からのリモコン操作が不要になるなど、利便性を大きく向上しました。さらに『Spasa』に入力したナンバープレート情報から自動車登録情報(以下、車検情報)を自動取得し、車両情報をもとにアプリ内に登録された機械式駐車設備への入庫可否をその場で判断できる、業界初の画期的な機能を搭載しています。
『Spasa』はどのような経緯で誕生したのでしょうか。
機械式駐車設備は、車室のサイズを大きくしたり、EV充電対応をするなど進化もしていますが、使い方そのものは昔からあまり変わっていません。弊社では、2013年にガラケー(ガラパゴス携帯)で入出庫をWeb予約できる機能を開発しました。
当時、他社にはない機能でしたが、ガラケー向けのサービスでしたので、パソコンやスマホ向けにアップデートしなくてはいけなくなりました。しかし、自社だけで開発するのは難易度が高く、佐藤社長からご紹介のあった御社のインキュベーション事業で協力いただけないかという相談をしました。
機能開発の軸は、登録していただく、使っていただくためにユーザー体験に焦点をおいています。特に「スマート入庫」という機能でナンバープレートを認識して自分のパレットが呼べるという機能が一番使っていただきやすいかと思っています。これをきっかけにユーザー様には、ナンバープレートの登録をしていただこうと思っています。そうすると、その駐車場にどんな車が多いか、この地域にどの車種が留まっているかということがわかるので、営業の提案に活かすことができます。
従来の設備に比べると『Spasa』のほうが圧倒的にコストが安いんですね。なおかつ部屋のインターホンやスマホから予約・時間の確認ができますし、入庫に関してもリモコンで操作せずに呼べるので、総合的に見て「安いし、便利」。ひいては駐車場を建てている側も、建物のバリューエンジニアリング(=コスト低減)として受け入れられるかと考えています。同じ機能でコストをぐっと下げるので他社に比べてもそのコスト差はかなり出てくると思っています。
Park Directを使うことで稼働率のアップや業務の大幅な効率化によって駐車場オーナー様にメリットを出し、従来の保守・メンテナンスだけに留まらないサービス提供を行う。加えて、『Spasa』は駐車場利用者様の利便性向上やコストダウン等を実現する。さらにここで得たデータ、知見をまたオーナー様のために生かす、という駐車場の貸し手、借り手の両者にとってさらなる価値を提供するという良い循環が生まれていますね。
最後にPark Directへの将来的なご期待やご要望はありますでしょうか?
理想を言うとニーリーがEV充電器の製造まで行えるとキレイだと思いますが、ものすごい資本が必要ですよね(笑)ただ、製造とまでいかなくとも、EV充電インフラの普及に取り組んでいただけると、今後さらにニーリーの仕組みを入れましょうとなるのではないでしょうか。2033年には3台に1台がEVになると言われているので、街中の駐車場でもEV対応が必要になるのかなと思います。逆に、EV充電器が設置されていないとお客様が入らない可能性があるのではないかと思います。駐車場管理のリーディングカンパニーであるニーリーにはそこに期待したいです。
貴重なご意見をありがとうございます。
Park Directから御社にもさらにいい提案ができると思いますので参考にさせていただきます。これからもよろしくお願いいたします。